特集

フィルムツーリズム~映画でまちづくり

フィルムツーリズム~映画でまちづくり

ロケ地巡り・聖地巡礼で地域を活性化。
映画の舞台になることが町おこしに繋がる可能性を秘めています。

観光スポット アート・工芸 伝統・文化


今年2月に小松島市で撮影された映画「新青春」がカナダのモントリオールインディペンデント映画祭にて監督賞を受賞しました。 3月に開催される予定だった「徳島国際映画祭」のクロージング上映作品として撮影された作品です。
徳島国際映画祭は徳島県が2016年から地元で映画を撮影する人材を育てる目的でスタートした映画祭で、4回目の昨年は徳島県で撮られた映画と 地元のスタッフが撮影した映画や映像が20本以上上映されるなど、地方の映画祭として回数を重ねるごとの成長を遂げています。
今回の受賞は映画のロケ地としても全国・世界の映画人に注目される機会になることが期待されています。また、映画鑑賞者が舞台となった場所を訪れる、ロケ地巡りに発展する可能性も秘めています。

ロケ地巡りや聖地巡礼などはフィルムツーリズムと呼ばれています。古くは「ローマの休日」や国内では大林宣彦監督の尾道三部作が有名ですが、現在はアニメや漫画の舞台に世界中から観光客が訪れるようになっています。
全国的にも地方における撮影地誘致の動きが活発ですが、映画を観光客誘致につなげるには地域側が情報を発信する必要があります。
映画の中で地方の産物を使ってもらったり、風光明媚な場所をロケ地にしてもらうには映画撮影に適した情報を常に把握し、的確に提供できる人材を育てておかないといけません。その点に置いても徳島国際映画祭は重要な役割を果たしています。

今回の映画「新青春」は県外の監督が地方の駅やローカルの風景を撮りたいとの意向でロケーション・ハンティングが行われました。当初は徳島西部や南部の徳島の中でも地方で無人駅がある町を巡ったそうですが、予算とスケジュールを鑑みて最終的には小松島市が選ばれました。
選んだ条件としては「徳島市内からのアプローチが便利」「地方の町独特の雰囲気がある」「映画作りの経験があって土地勘の強い現地スタッフがいる」の3点。

徳島市内からのアプローチについては、東京からの制作スタッフを最低限に抑えて、徳島在住のスタッフを起用することで、毎日の撮影後自宅に帰ることができ、自家用車で役者・スタッフの送迎ができるので予算を大幅に抑えることができます。
映画制作において、宿泊代・交通費・食費が全体予算の大きな部分を占めるので、少人数での撮影敢行と現地スタッフの積極的採用は大変重要になります。

小松島市はフェリーの廃止により徳島市の郊外ベッドタウンとして変化してきましたが、かつて四国の玄関口として栄えた名残が色濃く残る町並みや港の風景が監督のイメージに合致したそうです。
地元で住む側が普段まったく気にしていない風景が、今回のようにロケ地として選択される可能性は大いにあります。何もない町・寂れた町と自嘲するのではなく、そこに住まう人々の生活があって、脈々と積み重なる文化に自信を持って、積極的に発信する必要があると言えます。

今回の映画は徳島国際映画祭がきっかけで映像制作に携わるようになった徳島在住のスタッフがカメラマン・ヘアメイク・美術スタッフなどで参加されました。また、小松島市の観光協会を始め、地元の有志がボランティアで映画撮影のお手伝いをされました。
休憩時間や夕食で映画制作者が地元の人と交流することによって、地域のファンになってもらえることも映画撮影の醍醐味です。よそ者目線で地域の魅力を発見してもらい、発信までしてもらえる映画制作は地域の活性化に大いに役立つと考えられます。

あらすじ
四国・徳島の港町、小松島。朝倉春花(村上由規乃)は、女性の気持ちを持った父・朝倉吾郎(嶋本勝博)、風俗嬢に恋をしている父の弟・朝倉健太郎(鈴木淳)、シンガーソングライター志望の従兄弟の黒川学(藤井草馬)と4人暮らし。食卓はいつもうるさくもにぎやかで、それぞれ問題を抱えながらも明るい毎日を送っていた。しかし、春花に“ある出来事“が起き、4人の日々は大きく揺らぎ始める――。

映画「新青春」オフィシャルホームページ
https://shinseishun.com/