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手から伝わる木のぬくもり
『テーブル工房kiki』が生み出す癒しの時間

手から伝わる木のぬくもり
『テーブル工房kiki』が生み出す癒しの時間

国土の3分の2を占める森林。
日本では生活の基盤となる住宅、生活道具、工芸品など、古くから木材を使ったモノが使われてきました。
「木にふれると安心する」という日本人が多いのは、木とともに暮らしてきた歴史が長いからかもしれません。
自身も職人としてモノづくりを行ってきた木村健治さんが考える“木の良さ”とは。お話を伺いました。

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徳島県板野郡北島町の今切川沿いに佇む『テーブル工房kiki(キキ)』。
「どうぞどうぞ」と書かれた大きな看板が目印です。

ここは木のモノづくりを行い、販売をしているお店です。店内に一歩入ってみると、木のいい香りが。
大きな無垢板のテーブルやスツール、さらにはクラフト小物まで。さまざまな木の製品がずらりと並びます。

「50年前の創業当時は木工所でした。床の間の柱や一枚板の座卓を制作して、家具屋に納品していたんです」。
手がけるモノづくりが大きく変化したのは23年前のこと。自然塗料との出会いだったといいます。
「これまで使っていたのは木の表面に塗膜をはる塗料でした。しかし、この自然塗料は植物油と植物ワックスからできています。木の内部に深く浸透するので、木本来の温かみを感じられるモノづくりができると思いました」と、木村さん。
工房の横に実店舗を建て、まず始めたのはテーブルの販売。

実際にお客さんと対面することでモノづくりへの意識が変わり、製品もどんどん展開していくように。
「お客さんの反応を見て、スツールや時計など部屋を彩る小さめのインテリアを作るようになったんです」。

そして、もう一つの大きな転機が訪れます。それは、家具デザイナー・村澤一晃さんとの出会い。加工の途中でどうしても出てしまう端材をどうにかできないか、と相談したことがきっかけでした。
積みあがった端材を見て、デザイナーの村澤さんが「宝の山だ!」と声を弾ませたのには、驚いたといいます。
「僕たちには端材の使い道が分からなかった。けれど、村澤さんと出会ってクラフト小物を作るようになったんですよ」。

 ▲クラフト雑貨を手がけ始めたころからある箸置き。使用している木材の種類がすべて異なる。
▲クラフト雑貨を手がけ始めたころからある箸置き。使用している木材の種類がすべて異なる。

箸置きやバターナイフ、コップホルダーなどのテーブルウェア用品や

マグネットなどの文具、

一輪挿しなど…。『テーブル工房kiki』には、暮らしをやさしく彩ってくれるものであふれています。

このようなモノづくりの裏側には、職人がかけた手間があります。
まず、人間一人では抱えきれないほどの巨大な丸太を仕入れ、のこぎりで挽いて形を整える“製材”からスタート。そして木の樹皮を高圧洗浄機で吹き飛ばす“耳そうじ”をして、風通しのいい屋根付きの倉庫で数年間自然乾燥させます。

「木は生きています。反りやくるいの少ない良質な天板を作るために、加工前の準備段階がとても大切なんです」と話す木村さん。

 ▲ショップ横の材料倉庫。ここで選んでもらうこともあるという。
▲ショップ横の材料倉庫。ここで選んでもらうこともあるという。

そして自然乾燥させた天板を加工する段階へ。節や木目を生かしつつ加工をしていきます。
大きくて分厚い一枚板や太めのイスのフレーム、時計、小物など天然の素材を余すところなく使い、モノづくりをしています。

木村さんは「一つひとつの過程すべてが大事。丁寧に、木と向き合いながら仕事をします。最後の仕上げは必ず手。機械ではできない部分を磨き上げることで、手触りが変わってきますから」と、工房内を見せてくれました。

機械を使ってコップホルダーにサンダーをかけ、

最後は手で磨いて仕上げます。

「この手間があるのとないのとでは、手にふれたときのなじみ方が全く違います。私たちはこの工程を“手間”だとは思っていません。むしろ“当たり前のこと”だと思っていて、これを日々積み重ねているだけなんです」と、語る木村さん。

木の温かみを感じられるよう、そして長く、大事に使ってもらえるように…。素材を生かし、木の色気を醸し出す製品を丁寧に作って届けています。

 ▲取り扱う木の種類は約40種類。それぞれに特徴や個性があり、製品にするのにも技術が必要。
▲取り扱う木の種類は約40種類。それぞれに特徴や個性があり、製品にするのにも技術が必要。

そんな『テーブル工房kiki』では、無垢材を使った時計とコップホルダーを作る体験ができるのだそう。

好きなデザインを紙に書くと、工房内のレーザープリンターでプリントをしてくれます。世界に一つだけのオリジナルツールの完成です。

「木にふれると心地いいですよね。体験だけでなく、店内の空気でも木の温かさや気持ちよさを実感してもらえたら」と話す木村さん。気軽に訪れてもらえるよう、毎月第1土曜・日曜に『無垢材はぎれ市』を店舗前で開催しています。

大小さまざまな木っ端や大きめの端材など、よりどりみどり。1g=1円で販売しています。また、はぎれ市の日には月替わりでキッチンカーも並び、ちょっとした縁日のような賑わいになるのだそう。

“木”という命あるものを扱っているからこそ、店内に漂う柔らかくて心地いい空気。
『テーブル工房kiki』が生み出す、木に囲まれた空間やクラフト雑貨は私たちを癒してくれることでしょう。

●データ
『テーブル工房kiki』体験の紹介はコチラ
https://activityjapan.com/publish/plan/36450

東部圏域の魅力的な、「食」&「技」感動体験が詰まったパンフレットのダウンロードはコチラ
https://www.east-tokushima.jp/brochure