標高1438mの高丸山の周回ルート。登山口は標高約1000m、広い駐車場もあり気軽に日帰りハイクを楽しめる。よく整備された気持ちの良いトレイル沿いには、随所に眺望ポイントがあり、山の中腹以上は地域住民が大切に守るブナの群落など広葉樹の自然林に包まれている。夏には豊かに茂る青葉からの木漏れ日が水々しい緑に光り、秋には山一面が色とりどりのパッチワーク模様となる県内有数の紅葉の名所。山頂一帯は360°開放、東西南北を囲む山々がどこまでも見渡せる。

日本有数の規模、8haもの苔の森は、300年前に起きた山頂部の大崩壊で無数に散らばった岩を苔が覆ったもの。かつては修験道の行場でもあり、積み重なる苔の巨岩が作り上げた迷路には岩登りありトンネルありの天然アスレチック。ミニ八十八ヶ所も作られ、時を経て苔に包み込まれた石仏達が、今も岩陰に静かにたたずむ。苔の森は雑木の自然林にきつい日差しから守られ、梅雨から初夏の見頃には水をたっぷり含んだ苔が木漏れ日に碧く光る、訪れた誰しもが息をのむ幻想的な世界に…。駐車場から登山口までは日本の原風景のような秘境の山里で、美しい棚田が幾重にも広がる。

花手水や御朱印が人気の坂本八幡神社から、みかん畑に囲まれた山里を抜けた後、山道で慈眼寺へいたる。道沿いには岩くぐりや小川の渡渉もある。穴禅定で名高い慈眼寺からは、まさに日本の原風景といった山里の景色が一望できる。曲がりくねった道を下ると山肌に大きな岩壁がむき出しになり、そこからミストシャワーが80ｍ落下する灌頂滝が現れる。霧雨状の滝は風向き次第でふわふわと動き、苔が生い茂る岩々を優しく濡らす。この水は更に下流では鮮やかな青色の淵に注ぎ込むどこか南の島の雰囲気漂う滝・雄淵となる。