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「藍のれん」が風になびく、徳島らしい店構え。その魅力とは?

「藍のれん」が風になびく、徳島らしい店構え。その魅力とは?

まちを歩くと、藍のれんをかけた店が軒を連ねた風景が広がっている-。

蒅(すくも)づくりの本場である徳島でそんな景色を見られると素敵ですよね。徳島らしさを生かしたまちづくりを目指し、一般社団法人イーストとくしま観光推進機構では、飲食店が店先に掛ける「藍のれん」の製作に係る費用を助成する制度を2021年に創設しました。

藍のれんの魅力を伝えるため、本制度を使ってオーダーメイドの藍のれんを製作した3店の飲食店にお話を伺ってきました。

*徳島県では、2017年より7月24日を「とくしま藍の日」と定め、7月を「とくしま藍推進月間」として、さまざまなイベントを通して藍の魅力発信に取り組んでいます。

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厳選した旬の県産食材が織りなす、郷土の味を感じる和食割烹

厳選した旬の県産食材が織りなす、郷土の味を感じる和食割烹

まず訪れたのは、秋田町の中心地にある『阿波割烹 五十鈴』。創業53年を迎える同店では、地元の食材を使った割烹料理を堪能できます。

こちらでは、涼しげな藍のれんがお出迎え。両隣の巾には小さな鈴が縫い付けられ、触れると可愛らしい音色が耳をくすぐります。もともと使用していたのれんのデザインをそのままに、『岡本織布工場』に依頼して藍のれんに作り替えたのだそう。

女将の仁木さんは、「のれんはもちろん、クロスや襖の格子模様などいたる所に藍染を取り入れています。藍は、シックで高級感がありながらモダンな印象が生まれるので気に入っていますね。当店は県外からのお客様も多いため、藍のれんで徳島らしさを伝えられたらと思っています。藍のれんが広まり、様々なデザインの藍のれんが街中で見られると楽しいでしょうね」と話してくださいました。

 ▲藍が彩る個室でゆったりとくつろぎながら四季折々の料理を楽しめる。
▲藍が彩る個室でゆったりとくつろぎながら四季折々の料理を楽しめる。

五十鈴では、創業当初から愛される名物[釜めし]を味わえるランチ[味ごよみ 花かご御膳](2,000円)をぜひご賞味ください。ふんわり炊き上げた釜めしには、阿波尾鶏や海老がごろっと贅沢に入っています。

阿波割烹 五十鈴

阿波割烹 五十鈴

徳島市秋田町1-67
TEL. 088-623-3108(代表番号)、080-2983-3584(ランチ予約番号)
定休日/日曜、年末年始(12/31〜1/1) ※祝日は要問合せ
営業時間/ランチ:11:00〜14:00(L.O.13:30)、ディナー:18:00〜24:00(L.O.23:00)
※阿波おどり期間は、全日営業(ただし、8/16、8/17は臨時休業)

地元の暮らしに馴染んだ、飾らない味が楽しめる日本料理店

地元の暮らしに馴染んだ、飾らない味が楽しめる日本料理店

次に訪れたのは籠屋町商店街アーケード中心部に位置する『割烹 季節料理 に志もと』。普段使いできる親しみやすい味と雰囲気が魅力の、160年以上にわたり地元で愛される老舗です。

ここでは、濃紺の大きな藍のれんがどっしりと構えています。黒にも見えるほど濃い藍色は、光に透ける青色が美しく、昼と夜とで違う顔色を見せるのも魅力の一つ。製作を担当したのは、『本藍染矢野工場』です。

「当店は、いつも夏は藍染ののれんを使っているんです。ちょうど新しくするタイミングだったので、この制度を利用しました。県外の方は藍染を見たことのない人も多く、藍のれんが会話のタネになることが良いですね。また、和食は竹や金物をはじめとした多くの工芸の“職人”さんたちに支えられている業界です。だからこそ、職人さんたちが作った工芸品を積極的に使い、その良さに触れる機会を増やしたいと思っています」と女将の西本さん。

 ▲カウンター席もあり、一人でも気兼ねなく入店できる。
▲カウンター席もあり、一人でも気兼ねなく入店できる。

に志もとのおすすめの一品は大きなお皿にのった『えび箱ずし』(1,485円〜/時価)です。季節ごとに、足あか海老、車海老などの海老の種類が変わるので、旬の美味しさを楽しめます。すだちを絞ると海老の風味が引き立ち、さらに美味しくいただけます。


割烹 季節料理 に志もと

割烹 季節料理 に志もと

徳島市籠屋町1-17
TEL. 088-652-2756
定休日/日曜
営業時間/11:30〜23:00(L.O.22:40)
※阿波おどり期間は、全日営業(ただし、7/31〜8/3は臨時休業)

落ち着いた空間で、カジュアルイタリアンを

落ち着いた空間で、カジュアルイタリアンを

最後に足を運んだのは、籠屋町商店街アーケードから程近い通りにある『TSUBAKI.DINER』です。店前の花屋が印象的な当店では、落ち着いた空間で和食の要素も取り入れたカジュアルなイタリアンやフレンチが楽しめます。

同店の藍のれんは一風変わったカフェカーテン風。丈の短いのれんに横文字で白抜きの「TSUBAKI DINER」が書かれているカジュアルなデザインです。扉の幅に収まり、どんなスペースにも取り入れやすい大きさも魅力です。製作は『BUAISOU』。

店主の新居さんは、「藍染って“和”の印象があったのですが、思いのほかナチュラルに店に溶け込んでいて驚いています。さりげなく藍染を取り入れられたのが良かったですね。和のイメージにとらわれすぎず、自分たちの店のカラーと藍染の魅力をうまく組み合わせて遊べる幅があるのが魅力だと思います」と教えてくださいました。

 ▲奥のガーデンスペースには店名の由来となった侘助椿(わびすけつばき)が植わっている。
▲奥のガーデンスペースには店名の由来となった侘助椿(わびすけつばき)が植わっている。

TSUBAKI.DINERでは、丸いモッツァレラチーズが可愛らしい[トマトとモッツァレラチーズとバジルのパスタ](1,700円)をお楽しみください。見た目もおいしい水玉模様のパスタには、フルーティーなトマトがたっぷりと使用されています。

TSUBAKI.DINER

TSUBAKI.DINER

徳島市南新町2-22
TEL. 088-623-6767
定休日/火曜、隔週月曜
営業時間/17:00〜21:00
※阿波おどり期間は、全日営業※予約のみ(ただし、8/16、8/17は臨時休業)

各店の魅力をさらに引き立てる藍のれんの数々。ぜひ訪れた際には、のれんのデザインにも注目してみてくださいね。