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HIKE! TOKUSHIMA~中津峰山に登る~
徳島県は、面積の約8割を山地が占めており、大小さまざまな山に登ることができます。中でも地元のハイカーやトレイルランナーが楽しむ徳島東部の山々を国内外の登山好きの方に知ってもらうために2021年に始動した「HIKE! TOKUSHIMA」プロジェクト。
今回は、徳島市と勝浦町にまたがる、眺望抜群の『中津峰山』をご紹介します。
大パノラマが広がる頂上を目指して
剣山系の最東部に位置する標高773mの中津峰山。徳島市最高峰を誇り、小松島市の日峰山、阿南市の津峰山とともに阿波三峰と称されています。山頂へは四方から登山道が整備されており、体力や目的に合わせて多様なコースを組むことが可能です。
この記事では、勝浦町の『星の岩屋(星谷寺)』を出発し、頂上を経て、『中津峰山 如意輪寺』を目指す4.3キロメートルの初心者でも挑戦しやすいコースをご紹介。所要時間は、休憩や観光も含め4時間程度です。
おすすめの登山時期は、星の岩屋の紅葉のピークである12月初旬頃。ちょうどその頃は勝浦町のみかんの旬真っ只中で、星の岩屋に向かうまでの道中でみかん畑の景色も楽しめます。
神秘的な光景が広がる星の岩屋から出発
星の岩屋は、小松島市にある19番札所『立江寺』の奥の院。その昔、悪星が人々に災禍をなしており、弘法大師がこれを地上に引き下ろして岩屋に封じ込めたところ、悪星が石と化したため、この石を祀った言い伝えが残っています。
星の岩屋に到着したら、まずは本堂にお参りへ。大きな杉の木が対に並ぶ階段を上ります。
本堂の右奥には洞窟があり、中に入ることができます。ひんやりとした空気が漂う、神秘的な空間です。
洞窟は大きく開口しており、中から美しい景色を楽しめます。
開口部に流れ落ちる『不動の滝』は、裏側から見えることから『裏見の滝』とも呼ばれています。手が届くほどの近さ!
洞窟を出て、本堂に向かう階段まで戻ります。
階段の手前には、樹齢およそ450年のクスの木に、不動明王を掘った「生不動のクス」の姿が。木の裏側から覗き込むようにして拝みます。
階段を横切って、掲示板を左手に奥へ進みます。ここから頂上を目指します。
山奥にひっそりと佇む『仏石(仏陀石)』
登山道に沿ってしばらく歩いていると、分岐点に「四国のみち」の標識が立っています。右側に行けば頂上ですが、左側へ寄り道して、仏石を見に行きます。
下り坂を進むと、舗装された道路に出るので、そのまま道なりに進みます。すると左手側の足元に仏石の看板が見えるので、階段を下りていきます。
階段を下りた先にある、いくつもの石仏が円錐形に安置された仏石(仏陀石)。
実はここにも弘法大師の伝承が残っています。弘法大師がこの地を訪れたとき、山上に光り輝くものを見て登ったところ、高さ百数十メートルの巨岩の上に、突然現れた両界曼荼羅の諸仏を拝し、これを喜んだ大師は人々に信仰を進めました。
これを縁起とした後世の人々がこの巨岩の上に73尊の仏像を刻んで安置したと言われています。
いよいよ中津峰山山頂へ
来た道を引き返し、中津峰山山頂へ向かいます。山頂までは約2.1キロメートルです。
頂上までのほとんどの道が階段。道中にはいくつかベンチが設置されており適度に休憩できます。
壮大な眺めが待ち構える頂上へ
ようやく頂上に到着! 屋根のある休憩所があり、昼食を取るのにもぴったりです。手作りのベンチやオブジェもあり、地元に愛されていることが伝わってきます。
頂上からは、手前に勝浦町を、奥には小松島市や阿南市まで見渡せます。天気の良い日には遠く紀伊水道まで望むことができる抜群の見晴らしの良さです。
休憩所の奥には、天津神社が佇んでいます。厳かな空気を醸し出す石積みの防風塀にも目を奪われます。
ここから折り返し! 石垣を背に左折して、如意輪寺へ向かいます。階段の下り坂が続きます。
中津峰山中腹の古刹・如意輪寺へ
30分ほど歩くと、中津峰山 如意輪寺へ到着。中津峰山は、観音菩薩が降り立つとされる補陀落山(ふだらくせん)に形が似ていることからここを霊山とし、観音信仰の聖地として親しまれてきました。
国指定重要文化財になっている本尊の如意輪観音像は、家内安全や商売繁盛、心願成就、病気平癒などにご利益があるとされています。
また、かつては細川家・蜂須賀家の繁栄を祈る本尊として信仰された歴史もあり、開運招福、諸願成就、出世開運のご利益も授けてくれると言われています。
観音様が持っている蓮の花が施された本堂のダイナミックな彫刻は、思わず見惚れる美しさです。
如意輪寺を訪れたらぜひ見たいのが、大正時代に、生きた杉にご本尊である観音様が彫られた「立木観音」。阿波の優れた人形師のひとり「人形忠(にんぎょうちゅう)」の三男・横山天然居士が彫りました。お顔は見えませんが、衣服の精緻な表現から、卓越した技術が伺えます。
こちらは、彫られてから20〜30年後に撮られたという写真。今もなお生きている木は穴を修復しようと観音様を内側へ取り込んでいることが分かります。
こちらは竜宮型と呼ばれる形をした如意輪寺の鐘楼門。一般的な竜宮型の門は一階部分が漆喰塗りになっていますが、ここはすべて木製になっているのがめずらしいのだとか。
如意輪寺の駐車場にある大きな銀杏がゴールです。一面が黄色の絨毯となり、道中の疲れを癒やしてくれます。
星の岩屋
住所:勝浦郡勝浦町星谷野田尾126
紅葉の見頃は12月初旬
如意輪寺
住所:徳島市多家良町中津2-2
TEL: 088-645-0008
ウェブサイト:https://nakatsumine-nyoirinji.com/
紅葉の見頃は11月下旬
ルートなどの詳細はHIKE! TOKUSHIMAよりご覧ください。
https://www.east-tokushima.jp/trail/mtnakatsumine.php

