特集

一生に一度は見たい!江田の菜の花 – 脱穀編 −

毎年3月、棚田が一面の菜の花畑になります。場所は、徳島県神山町江田。
この美しい景色が、どのように作られるのか?
夏のはじまりの6月初旬、江田のみなさんを密着取材してきました。
第1弾は「脱穀編」です。

自然


江田の菜の花とは

江田の菜の花とは この道を抜けた先にあるのが「江田」です
この道を抜けた先にあるのが「江田」です

徳島市内からクルマで約1時間、神山の奥にある集落「江田」。
木が生い茂る道を抜けた先、ひらけた場所に出れば、そこが江田集落です。

 空から見た2023年の春。右下の黄色い部分が菜の花です。
空から見た2023年の春。右下の黄色い部分が菜の花です。

ここでは昔から、急な斜面でも米を育てるべく、
山を切り開いて棚田をつくり、稲を育てていました。

 棚田の様子。春には桜も咲きます。
棚田の様子。春には桜も咲きます。

集落の中には十数代続くという農家の方も。
それくらい昔から人が住んでいる、歴史のある地域です。

 満開の菜の花
満開の菜の花

しかし、住民の高齢化により棚田を管理する人が減り、だんだんと耕作放棄地が増加。農作物を作らない期間が長いと、何も作れない土地になってしまいます。そこで植えたのが、菜の花でした。

「菜の花は春になると花が咲き、美しい。これを見に人も来てくれるのではと思い、植え始めた」と、菜の花プロジェクトのリーダーの上萩さん。

見頃のシーズンには、菜の花祭りも開かれ、多くの人でにぎわいます。しかし、そのにぎわいもコロナの影響を受け縮小傾向に。2023年春には、追い討ちをかけるように鳥獣に菜の花が食べられ、思うような規模の菜の花を育てられませんでした。

2024年の春には、あのにぎわいと、美しさを取り戻す。
そんな強い想いのもと、次の春に向けた活動が始まっています。

いざ、 脱穀!

いざ、 脱穀! 集落の方が総出で行います
集落の方が総出で行います

6月中旬、脱穀の日がやってきました。脱穀は乾いた状態で行う必要があるため、天気とにらめっこ。2度の変更を経て、ようやくこの日に実施できました。午前中の2時間をかけ、集落の方が総出で脱穀します。

①木槌で叩き、実を落とす

 まずはひらすら木槌で叩きます
まずはひらすら木槌で叩きます

5月に刈り取り・はぜかけし、1ヶ月ほど干した菜の花をおろします。
木槌でひたすら叩いていきます。パラパラと落ちるのが菜の花の種です。

②藁と実をわける

 チームワークが欠かせません
チームワークが欠かせません

つぎは、角度をつけた網を設置し、上から藁を置いていきます。
網目より小さな実が落ちていきます。実が落ちてこなくなるまで、何度も繰り返します。
ある程度選別できたら、ふるいにかけ、実だけを取り出します。

 網の目の間を菜の花の実が落ちていきます
網の目の間を菜の花の実が落ちていきます
 まだまだ藁も混じります
まだまだ藁も混じります
 終盤はふるいを使って実だけを取りだします
終盤はふるいを使って実だけを取りだします

③風で分別

 左上、勢いよく飛び出しているのが藁。種は2種類に分けられます。
左上、勢いよく飛び出しているのが藁。種は2種類に分けられます。

ふるいにかけ終えた実を、風の力で分けていきます。使うのは、昔から使われているというこちらの機械「唐箕(とうみ)」。重さの違いを活かし、軽い藁は遠くへ、重い種は手前に落ちる仕組みです。種は重さによって、質の良いものと劣るものの2種類に分けられます。

 木のハンドルを回して、落ちてくる種の量を調整します
木のハンドルを回して、落ちてくる種の量を調整します

④袋へ入れる

 この日に取れた種
この日に取れた種

すべての実を取り除いたら、袋へ。今年は24kgの種が取れました。
この種が2024年春に芽吹き、美しい菜の花畑になります。

 この日の成果!3袋の菜の花の種が取れました。
この日の成果!3袋の菜の花の種が取れました。

編集後記

編集後記 江田集落の全景
江田集落の全景

取材に行ってわかったことは、美しい棚田の景色は、地元の皆さんの地道な作業と熱い想いによって生み出されているのだということ。神山町江田へ訪れる際、近くに地元の方がいれば、ぜひ声を掛けてみてください。菜の花畑にかける強い想いを、教えてくれるはずです。
春の見頃シーズンはもちろんですが、緑が美しく生い茂る夏に歩くのも楽しいです。

ぜひ一度、徳島県神山町の「江田集落」に足を運んでみてください。
次回は、秋ごろ、種蒔きの様子をお届けします。

■アクセス
・徳島駅からクルマで約1時間
■住所
・神山町上分字江田