特集

自分を高める聖地へ!
ガイドブックには書いていない
お遍路ガールの楽しみ方

「私、このままでいいのかな?」 

忙しい毎日を過ごしていて、ふと我に返る時はありませんか?
情報あふれる現代社会。忙しい日常を離れて、静かな場所でゆっくり自分に向き合いたい。そんな人にオススメの旅です。

弘法大師(空海)が創建したと言われる「四国八十八カ所霊場」を巡るのがお遍路。でも八十八カ所以外にも弘法大師にまつわるお寺はたくさんあるんです。
そういうお寺こそ初心者にも優しく、お坊さんの話を聞けたり、修行ができたりします。お寺をあとにする時、心はスッキリ。極上の癒やし空間です。

特別な準備や知識は必要ありません。
楽な気持ちでお遍路に出かけましょう。

文・藤井園苗(タクシードライバー)

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最初に行こう 初心者に優しいお寺
種蒔大師 東林院(たねまきだいし とうりんいん)

最初に行こう 初心者に優しいお寺
種蒔大師 東林院(たねまきだいし とうりんいん) 広々とした明るい境内。初めて来たのになんだか落ち着く不思議な感じ
広々とした明るい境内。初めて来たのになんだか落ち着く不思議な感じ

東林院は、四国八十八カ所霊場第一番札所「霊山寺」の奥の院です。

別名を「種蒔大師」と言って、その昔、弘法大師が滞在中に自ら鍬を持って米麦の種を蒔き、民を救ったと伝えられています。お遍路に向かう巡礼者は、まずこの種蒔大師に発心(悟りを得ようとする決心)の種を蒔いてもらい、それから一番札所に向かうというスタイルが古来からありました。

このお寺では本坊の拝観と、ご住職のお話やご詠歌という仏教の歌を聞くことが出来ます。ご住職が忙しい時は対応できないこともあるそうですが、なんと無料です。私も本坊の拝観をお願いしました。

 本坊の様子。ロウソクの炎の揺らめきが幻想的
本坊の様子。ロウソクの炎の揺らめきが幻想的

この日、お話ししてくださったのは副住職の加藤一真さん。
お寺のこと、弘法大師のこと、仏教のことが分からない私にも優しく解説してくださいました。

 本坊を案内してくれた副住職の加藤さん
本坊を案内してくれた副住職の加藤さん

加藤さん「今でこそ葬式や法事など、不幸事でしかお寺に行かない人が多いですが、昔のお寺は公民館や娯楽の場としての機能も果たしていたんです。訪れた人が安心して、幸せな時間を過ごせる、そんなお寺の復興を目指しているんです」

お寺を人々の憩いの場にするため、加藤さんは10年ほど前からヨーガや音楽コンサートなど、様々なイベントを催すようになりました。そして、3年前に境内にあった建物を改装して「ろうそく夜」という喫茶店ができました。

 境内の片隅にある喫茶店「ろうそく夜」カワイイ!
境内の片隅にある喫茶店「ろうそく夜」カワイイ!

手作り感溢れる小さなお店。中に入ると薪ストーブの優しい温かさに包まれます。

店主の元木さんは、東林院のイベントに出店していた時に加藤さんと意気投合。「ろうそく夜」を任されることになりました。お店の改装も加藤さんと相談しながらやったそうなのですが、お互いの求めるものがそっくりで、自然な形でこのお店ができたそうです。

 店主の元木さんが一人で切り盛りできるように席数も少なめ
店主の元木さんが一人で切り盛りできるように席数も少なめ

元木さん「プロのようなお店ではなく、家庭のようなお店にしたかったんです」

元木さんが目指すのは、ゆっくり自分の時間を楽しんでもらえる喫茶店。

 おいものプリンケーキ450円。天然バニラとカモミールのチャイ600円
おいものプリンケーキ450円。天然バニラとカモミールのチャイ600円

喫茶がメインで、ランチは10食限定。私は、おいものプリンケーキとチャイを頂きました。
ケーキは甘すぎず、カラメル味が絶妙。チャイは香りがすごく立っていて感動ものでした。

お客様はご近所の方から県外の方まで様々。一人で来られるお客さんも多いそうです。

元木さん「一人で来られているお客さん同士が、いつの間にか仲良くなっていて、一緒に来てくれたりするんです。お店にいると、毎日素敵な映画を見ているような気持ちになります。目の前で縁がつながっていくのが嬉しいですね」

開かれたのは1450年以上前!
四国霊場開創の地 大山寺(たいさんじ)

開かれたのは1450年以上前!
四国霊場開創の地 大山寺(たいさんじ) 230段ある階段を上ると鐘楼門が見える
230段ある階段を上ると鐘楼門が見える

大山寺は、四国別格二十霊場の第一番札所。
なんと、阿波仏法最初の寺院で、弘法大師はここを拠点に四国霊場を開創したそうな。

山門をくぐって見上げると230段の石段。源平合戦に向かう源義経が必勝祈願に訪れたと言われるお寺です。義経もこの石段を登ったのかと思うと感慨深いです。

境内に入って私が一番気になったのは、手水舎の龍!見れば見るほど不思議で、細かい細工にも舌を巻きます。

 手水舎の龍。頭には五円(ご縁)玉がいっぱい
手水舎の龍。頭には五円(ご縁)玉がいっぱい

実はこの大山寺、昔から縁結びのお寺として知られています。本堂の通路に吊るされた絵馬は「良縁祈願」

 「良い人と出会えますように」結婚を願う絵馬がたくさんありました
「良い人と出会えますように」結婚を願う絵馬がたくさんありました

ご住職曰く「縁結びというと男女の縁を考える人が多いですが、仕事でも何でも、世は縁によって成り立っています。だから仕事や人生に悩んでいらっしゃる方にも来て欲しいですね。良い縁に出会うには、素直になることが一番ですよ」とのこと。

学業成就からぼけ封じまで 首から上を高めるなら
弘法大師御学問所 童学寺(どうがくじ)

学業成就からぼけ封じまで 首から上を高めるなら
弘法大師御学問所 童学寺(どうがくじ) ご住職と奥様。とても仲良くてお話ししているとほのぼのします
ご住職と奥様。とても仲良くてお話ししているとほのぼのします

童学寺は、四国別格霊場第二番札所。
溜め池でくつろぐ鴨を見ながら歩くと、かわいい山門が見えて来ます。珍しい形で、唐風といわれているそうです。ご住職の塩田龍澄さんと奥様の祥子さんがお出迎えしてくれました。

弘法大師は、幼少の頃にこのお寺で学問修業をしたそうです。そのため、学業成就のお寺として知られています。そして、達筆で知られる弘法大師。ここには、弘法大師が硯の水を求めて筆で掘り当てたという「お筆の加持水」があります。

 「お筆の加持水」が絶えることなく湧いている
「お筆の加持水」が絶えることなく湧いている

このお水で墨をすると書道が上達すると言われています。その上、このお水を飲めば首から上の病気に効き、いつしか「ぼけ封じ」になるということが広まり、参拝される方も多いそうです。

 ご住職に御朱印を頂きました。流れるような筆さばき
ご住職に御朱印を頂きました。流れるような筆さばき

童学寺の本堂は、昨年火事で焼失してしまいました。しかし、仲の良いご住職と奥様は力を合わせて再建に向けて努力を続けています。

たくさんの人に愛されるお寺にするため、年2回「いろは手作り市」というイベントを開催し、たくさんの人で賑わうそうです。きっとお二人の人徳が人々を呼び寄せるのでしょう。

 鳥の声が響く逍遙園
鳥の声が響く逍遙園

ご住職の奥様曰く「うちのウグイスは、上手にはっきり鳴くんです」

春はウグイスだけではなく、様々な鳥の声も賑やかに聞こえるそうです。冬でも静けさの中に鳥のさえずりが聞こえました。
深呼吸すると、モヤモヤしていた頭が澄み渡るような感覚が。これも弘法大師の御利益でしょうか。

鍾乳洞で生まれ変わる
穴禅定 慈眼寺(あなぜんじょう じげんじ)

鍾乳洞で生まれ変わる
穴禅定 慈眼寺(あなぜんじょう じげんじ) 貸してくれる修行用白衣で修行に向かう
貸してくれる修行用白衣で修行に向かう

最後に訪れた慈眼寺は、四国別格霊場第三番札所。
ここには、弘法大師が悪龍を封じ込めたと言われる鍾乳洞があります。この鍾乳洞をくぐり抜けるのが「穴禅定」と言われる修行です。

入る時は一人一人ロウソクを手に、全長100mほどの鍾乳洞を進みます。本当に狭いので先達(案内人)の言うとおりにしないと身動きがとれなくなってしまいます。

トップにある動画が穴禅定の様子です。

穴禅定(動画)
https://youtu.be/5vIIBYpWTt0

いかがですか?気分はインディ・ジョーンズ。でもこれはれっきとした修行です。先達の言うことを良く聞いて、弘法大師に想いをはせます。

最後に「胎内くぐり」と呼ばれる狭い穴を這って抜け出し、外の世界に戻ります。こうして穴禅定を終えると“生まれ変わった”ことになるそうです。

真っ暗で、物音一つしない世界から、光と小鳥たちのさえずりが溢れる世界へ。

「来たときより、世界が輝いて見える」

この感覚は実際に体験した人でないと味わえません。

最初に訪れた東林院のご住職の言葉を思い出しました。
「お寺のうんちくや、難しい話も大切ですが、全身で感じて欲しいんです。お寺は、そのための装置なんです」

お遍路は弘法大師と共に悟りを求める旅です。お寺にはそのための仕掛けがいろいろあります。
五感を研ぎ澄ませ、ゆっくり深呼吸して感じて下さい。きっと何かを感じてもらえるはずです。

この記事を読んでくれた人にとって、少しでも自分磨きのお役に立てますように。

Information

東林院
徳島県鳴門市大麻町大谷
088-689-0053
https://torinin.jp/
※本坊の拝観、お話と御詠歌は無料。事前に電話でご確認ください。

ろうそく夜
東林院境内
090-2894-6271(予約不可)
https://www.rousokuyo.org/

大山寺
徳島県板野郡上板町神宅字大山14-2
088-694-5525
http://taisanji.jp/

童学寺
徳島県名西郡石井町石井字城ノ内605
088-674-0138
http://dougakuji.com/
https://www.facebook.com/dougakuji/

慈眼寺
徳島県勝浦郡上勝町正木灌頂瀧18
088-545-0044
http://www.anazenjo-jigenji.com/
※穴禅定は12月〜2月末まで休み。詳細はHPで確認を。

自分を高める聖地へ!
ガイドブックには書いていない
お遍路ガールの楽しみ方 記者

TEXT 藤井園苗
徳島県出身。転勤族だった航空自衛隊を辞職した後、帰省。現在は、人口約1500人の徳島県上勝町に移住して11年目。徳島県環境アドバイザー、上勝町の助け合いタクシードライバーなど、様々な顔を持つ。幼い頃より多数派と違うものを選ぶ天の邪鬼。流行っている物より、自分が気に入った物に囲まれている暮らしが幸せ。趣味は漫画。