特集

里山のひな祭りで女の子をEnjoy!
遊山箱もって着物でウキウキ旅

ひな祭りなんて、お人形さん並べて何が楽しいの?と思っている人は誰ですか? …私です。4人姉妹で育ちながらも、全く人形というものに関心がありませんでした。「ひな祭りは女の子の健やかな成長を願う日よ」と言われたって、「つまらない」と思うだけ。
そんな私ですが、これから紹介する徳島県勝浦町のひな祭りに行って認識が衝撃的に変わりました!

「こんなひな人形の飾り方、アリなの!?」
「え、昔はひな祭りに男の子も一緒にお弁当持って山とかに遊びに行ってたの?」

ひな祭りっておしとやかにしなきゃいけないって思っていたけど、全然そんなことないんだ。自由でいいんだ!そう思うと、いい歳になって初めてひな祭りを楽しめるようになりました。そう!ひな祭りは年齢も男女も関係ない!一緒に楽しめば良いんです。だけど、一応男の子の日は後でありますからね。お先に女の子優先で楽しませてもらいますよ!

さぁ、魅力いっぱいの勝浦町のひな祭りで、レッツエンジョイ!

文・藤井園苗(タクシードライバー)

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迫力のビッグひな祭り
個性の坂本おひな街道

徳島でひな祭りと言えば、勝浦町の「ビッグひな祭り」。
人口約5千人の町に毎年約3万人が訪れるビッグイベントです。
(今年は2月23日〜3月31日開催)

最近は全国各地で大規模なひな祭りが開催されるようになりましたが、実はその元祖がここ徳島県勝浦町。昭和63年、町の活性化と人形文化の継承を目的に、まずは1000体ほどの人形を集めて始めました。

今年で31回目になるイベント。メイン会場に入ると高さ8メートル、100段のピラミッドのような巨大なひな壇に飾られた人形がお出迎えです。会場に飾られた人形はなんと3万体以上。

 ビッグひな祭りのメイン会場
ビッグひな祭りのメイン会場
 高さ8メートルもある大ピラミッド。ひな壇の数は、なんと100(25×4)段!
高さ8メートルもある大ピラミッド。ひな壇の数は、なんと100(25×4)段!

どうですか?この迫力!
まさに徳島が誇る日本一のひな祭りイベントです。

元祖である徳島県勝浦町は、千葉県勝浦市をはじめ多くの町にひな人形を里子に出し、それぞれの地域活性にも一役買っているそうです。また、平成28年に開催されたリオ五輪では5000体の人形を飾って世界中のお客様を喜ばせました。今では世界各地から観光客が訪れるようになったビッグひな祭り。日本の伝統文化を世界に発信しているイベントなんですね。

ビッグひな祭りの期間中、勝浦町では町のあちこちでひな人形を楽しむことができます。そんな中、私のイチオシが「坂本おひな街道」です。

 坂本おひな街道
坂本おひな街道

坂本は勝浦町の一番奥、山の斜面に広がる小さな集落。その街道沿いの民家の軒下にひな人形を飾っているのが「坂本おひな街道」です。飾り付けをしているのは家主や地元の有志。古い町並みを彩る個性的な飾り付けは、SNS映え間違いなしです!

 おひな街道のある勝浦町坂本は、山の斜面にある小さな集落
おひな街道のある勝浦町坂本は、山の斜面にある小さな集落

おひな街道の出発点は「ふれあいの里さかもと」。廃校となった小学校を改装した宿泊や食事ができる施設です。「坂本おひな街道」のイベントの案内やパンフレットももらえます。

そして、今年の坂本おひな街道は2月23日~3月17日に開催されますが、そのうち3月2日、3日、9日、10日の4日間だけ行われるのが、「さかもと着物まつり」です。

 ふれあいの里さかもと。元体育館に「おひな様の奥座敷」という展示も有り
ふれあいの里さかもと。元体育館に「おひな様の奥座敷」という展示も有り

着物でドレスアップ!
おひな街道を遊山歩き

あんまり着物を着る機会がない現代。着れる機会があるなら、ぜひとも着ましょう!なんせ、「さかもと着物まつり」では、着物をレンタルできて、着付けとヘアセットもしてくれて、お土産までついて3,000円。なんとお得なセットなのでしょう!だけど、1日16名程度で予約優先なので早めの予約が必須です。

自分の着物がある人は、久しぶりに着てみましょうよ!だって、着物にぴったりのスペシャルコンテンツがあって、テンションが上がること間違いなしですよ!

 私(左)と、ちはる(右)
私(左)と、ちはる(右)

今回旅に誘ったのは、私が暮らしている上勝町にあるキャンプ場「パンゲア・フィールド」で働いているちはる。

ちはる「今度、親知らずを抜かなきゃいけなくて、怖いから…。気を紛らしに行きたいです!」とOKしてくれました。

今日は女子二人で思いっきりエンジョイ。イヤなことなんて吹っ飛ばせ!

 着付けは坂本八幡神社横にある集会所でやってくれます
着付けは坂本八幡神社横にある集会所でやってくれます
 2km弱にわたって街道沿いに飾られるひな人形
2km弱にわたって街道沿いに飾られるひな人形

着物を着たら、さっそくおひな街道を歩いてみましょう。
おひな街道はゆっくり散策して1時間弱。履き慣れない草履でも大丈夫な距離です。

 竹を上手く利用して飾り付けされた理容室。サインポールや郵便受けの上にも鎮座してますよ
竹を上手く利用して飾り付けされた理容室。サインポールや郵便受けの上にも鎮座してますよ

地元の人たちが創意工夫を凝らした飾り付けは、クスッと笑ってしまうものから、「すごい!」と驚嘆するものまでいろいろ。思わぬところに飾られていて、「あ、あんな所にもいた!」と二人で盛り上がります。

街道に飾られているひな人形をじっくり見ていくと、一人ずつ顔が違うことに気がつきます。そこで、私はちはるにこんな提案を。

私「どのお内裏様が一番タイプか言ってみようよ!」
ちはる「いいですよ。私、よくB専って言われますけど」
二人「せ~の」

 「どのお内裏様が一番タイプ?」
「どのお内裏様が一番タイプ?」
 二人の選んだお内裏様
二人の選んだお内裏様

数あるお内裏様の中から、なんと二人が指さしたのは同じお内裏様。
男性の好みは意外に一緒だったようです。

いい歳してはしゃいでいると、地元の方に声を掛けられました。
やはり着物効果は絶大なようです。

 笑顔が素敵な田村さんご夫婦
笑顔が素敵な田村さんご夫婦

田村さんはおひな様を飾り始めて10年以上の大ベテラン。

田村さん「やっぱりな、毎年同じような飾り方だったら、素通りされるわよ」
私「みんな毎年変えるんですね。すごいなぁ」

田村さんのお宅の前で見慣れない人形を発見しました。

 「末永く仲良くね…」そんな親心が形に見える文化って素敵です
「末永く仲良くね…」そんな親心が形に見える文化って素敵です

私「これって、おじいさんとおばあさんですよね?これもひな人形なんですか?」
田村さん「これは、“じょうとんば”言うてな、ともに白髪が生えるまでって、私が嫁ぐときにお母さんが持たせてくれたやつなんよ」
私とちはる「へ~、すごい素敵~」

 嫁いでから60年以上と聞きました。まさしく「じょうとんば」のようなお二人の写真
嫁いでから60年以上と聞きました。まさしく「じょうとんば」のようなお二人の写真

そろそろお昼が近くなりお腹が空いてきた私たち。今日のランチは、遊山箱(ゆさんばこ)に入ったお弁当です。

 職人が作っているので精巧な遊山箱。なにか大事な物をしまっておきたくもなります
職人が作っているので精巧な遊山箱。なにか大事な物をしまっておきたくもなります

遊山箱とは、桃の節句に子どもたちが持たせてもらった3段重ねのお弁当箱。

男の子も女の子もご飯や甘い物を遊山箱に詰めてもらって、野山に遊びに行ったそうです。食べきってしまっても、知り合いの家に行くとまた中味を詰め直してくれたなんてことも。
遊山の風習は薄れてしまいましたが、素朴で可愛い遊山箱は徳島県独自の文化として見直されてきています。

「ふれあいの里さかもと」では杉の無垢材の遊山箱(4,000円)の販売もしています。今回は絵の具で塗ってみたり、手軽に使えるマスキングテープを使ったり、ちょっとひな祭り仕様にデコってみました!

 お重ってコンパクトなのにいっぱい入ります
お重ってコンパクトなのにいっぱい入ります

「ふれあいの里さかもと」では、遊山箱を購入するとそのままお弁当(1,080円)を詰めてくれます。おかずの段、ご飯の段、スイーツの段、とっても色鮮やかで可愛い。

田村さん「ほれ遊山箱やなぁ。懐かしいなぁ。私も子どもの頃は、ほれ持って遊山にいったわよ」
ちはる「田村さんも一緒に食べましょうよ。どうぞどうぞ」
田村さん「ほうで?ほな頂いてみようか。 、、、うん、美味しいにできとるな」
ちはる「ね~、美味しいですね~」

 おひな様の前で、田村さんと一緒に遊山ランチ
おひな様の前で、田村さんと一緒に遊山ランチ

こんなふれ合いがあるのも、遊山ならではですね。みんなでご飯交換して、笑い合って。一期一会の出会いが、かけがえのない思い出になっていく。あ~、これぞ旅の醍醐味。

地元青年が引く手作り人力車
小鳥さえずる茶席で春を満喫

さて、いよいよ旅もクライマックス。
着物まつりが開催されている日のスペシャルコンテンツです。

私が一度は乗ってみたいと思っていた人力車。着物まつりの日には人力車に乗れるんです。
実はこの人力車、地元を盛り上げたいと考えた青年が自分で作ったもの。細かい装飾まで凝ってて、素人が作ったとは思えない完成度。

そして、人力車を引く俥夫(しゃふ)も地元の青年たち。

 憧れだった人力車。目線が高くなって風景が新鮮に見えます
憧れだった人力車。目線が高くなって風景が新鮮に見えます

人力車の出発地は「ふれあいの里さかもと」と「坂本八幡神社入口」ですが、「ふれあいの里さかもと」に電話をすれば、希望の場所まで迎えに来てくれます(+200円)。ルートは決まっておらず、行きたい所まで乗せていってもらえますよ(100円/100m/人)!

人力車から見る風景はとても新鮮に感じました。地元愛あふれる青年の話を聞きながら、おひな街道を走ります。

 俥夫は何人かで交代制なので、指名できるわけではありません。
俥夫は何人かで交代制なので、指名できるわけではありません。

目的地に到着。乗り降りする時には、俥夫の方がちゃんと手を添えてくれました。
道の段差や車を止める時も、怖くないように細心の注意を払って操作してくれます。そう、まるでお姫様かのよう!嬉しいですねぇ。(ちなみに、人力車は着物でなくても乗れます)

そして、着物祭りのもう一つのスペシャルコンテンツはお茶席。
梅の花咲く山里で野点(のだて)風にお抹茶と和菓子を頂けます。

 着物を着るとお茶を嗜みたくなるのはなぜでしょう
着物を着るとお茶を嗜みたくなるのはなぜでしょう

梅の香りがただよう山里。早春の日差しに包まれてお茶をいただきました。

すると山雀(ヤマガラ)がすぐ近くの梅の枝にとまって、かわいい顔を見せてくれていました。どうやら、近所の方が餌付けされていて、その人が近くに来ると寄ってくるそうです。

 懐いている近所の人になら、手にとまるかわいいやつ。
懐いている近所の人になら、手にとまるかわいいやつ。

ちはる「あ~、癒やされますね~」

せっかくのひな祭り。
日本一のひな祭りの里、勝浦町に行ってみませんか?
「坂本おひな街道」は女の子を楽しませる魅力がいっぱいです。

日本中、いや世界中の女の子が健やかな毎日を過ごせますように。


坂本おひな街道2019~おもしろシリーズ

今回の旅で私が見つけた思わず笑ってしまう面白人形たちです。
おひな街道に行ったら探してみてください。

 
「ここはぬくいな-」

 
「ここは不安定じゃのぉ」

 
「また人間たちが来てるわよ。 あら、こっちに気付いたみたい」

 
「坂本おひな婚活への道 ~わたしはあの人がこ・の・み♡ ~ほの子もええな…」

 
「ひな飾りのために植えられたカブラ ~バランス悪くなるから収穫できません by作者」

 
「おさるのキン子と申します。6曲演奏できます。最初と最後に挨拶もできます」

Information

第31回阿波勝浦 元祖ビッグひな祭り
【日時】2019年2月23日~3月31日 9時~16時
【場所】人形文化交流館 徳島県勝浦町大字生名字月ノ瀬35-1
【入場料】一般300円 小学生100円 団体(10名から)200円
【問合せ】人形文化交流館TEL 0885-42-4334
【HP】阿波ナビhttps://www.awanavi.jp/docs/2014011400023/
※会期中は毎週様々なイベントが開かれています。

おひな様の奥座敷と坂本おひな街道
【日時】2019年2月23日~3月17日 最終日は15時まで
【場所】「ふれあいの里さかもと」をめざしてお越し下さい。

ふれあいの里さかもと
【住所】徳島県勝浦町大字坂本字宮平1-5
【電話】0885-44-2110
【最新情報】https://www.facebook.com/FureainosatoSakamoto/
※期間限定スペシャルランチ 11時~14時(売切次第終了)
 第1弾 2/23~3/3 おひな様セット、里山定食 700円
 第2弾 3/4~3/17 ヘルシーバイキング 大人1500円 小人800円 幼児600円

さかもと着物まつり
【日時】2019年3月2日、3日、9日、10日 *雨天中止
※着付け体験
【対象】お子様~大人の男女 *小学生以下は保護者同伴
【集合場所】坂本集会所 徳島県勝浦町大字坂本字宮平2
【受付時間】10時、11時、13時、14時
【定員】4名様程度/各日各回 *予約者優先、空きがあれば当日参加も可能です
【料金】3,000円(着物レンタル、着付け、ヘアセット、おみやげ込)
※人力車
【乗車場所】ふれあいの里さかもと、坂本八幡神社入口*それ以外への迎えも可能(+200円)
【料金】お一人様100m毎に100円
※茶席
【場所】坂本隧道の西側、黄檗駐車場付近
【料金】500円(お茶点て、和菓子込み)
【問合せ】ふれあいの里さかもと
【HP】http://www.sakamotokimono.com
【最新情報】https://www.facebook.com/sakamotogenkinet/

里山のひな祭りで女の子をEnjoy!
遊山箱もって着物でウキウキ旅 記者

TEXT 藤井園苗
徳島県出身。航空自衛隊を辞職後、人口約1500人の徳島県上勝町に移住してゴミゼロ運動を進めるNPOで7年勤務。在職中に着物などをリメイクする工房を運営したり、町おこしイベント「上勝着物の日」を6回開催。着物の奥の深さ、懐の広さを知る。現在は、助け合いタクシーや勝浦郡唯一の運転代行もする何でも屋。